【感想】「カールじいさんの空飛ぶ家」、過去を捨てて浮かび上がる78歳
カールじいさんの空飛ぶ家って見たことあります?
言わずとしてたディズニー作品、しかもヒット作連発のピクサー。噂によると、カンヌ国際映画祭のオープニング映画……
聞いたことはありますよ?キャラクターもなんとなくわかる!ツムツムに出て来たから。
でも、なんかおじさんが主人公でしょ?見るからに感動作っぽいし。リメンバーミーと同じく、ピクサーの感動作+主人公が人間の作品って、なんまり肌に合わないんだよな~~~
なんて思いつつ、とうとうディズニー作品で見るものがなくなり、以前友達におすすめっされていたのを思い出してついにカールじいさんを見てみました。
これ、めちゃくちゃおもしろいです。評価は8点です。
カールじいさんの空飛ぶ家 の紹介
78歳のカールじいさんは、最愛の妻エリーに先立たれ、彼女との思い出が詰まった家でひとり暮らしをしていました。ある日、妻との約束を果たすため、人生最大の決心をします。住み慣れた家に無数の風船を結びつけ、「パラダイスの滝」を目指して大空へ!偶然空飛ぶ家に乗り合わせた少年ラッセル、南米で出会う不思議な犬ダグと共に、冒険の旅が始まります!
最愛の妻を亡くした78歳の老人。妻との思い出が詰まった家で一生を過ごそうと思っていたが、都市の再開発やトラブルにより立ち退きを命じられます。
思い出を捨てたくないカールは、家にたくさんの風船を結び付け、家ごと引っ越すことを決意。行先は愛する妻がいつか行きたいと言っていたパラダイスの滝。
偶然乗ってきた少年・ラッセルと、道中仲間になった鳥と犬と共に世界を旅しているといろんなトラブルに巻き込まれて……
「な~んだ、よくある冒険譚か。しかも仲間が老人と犬と鳥って……」そう思う方も多いかもですが、そんなに薄くはない!
カールじいさんの空飛ぶ家 のおすすめポイント
老害、カールじいさんが可愛く見えてくる
主人公カール・フレドリクセンはめちゃくちゃ老害。都市を開発するための立ち退きにも応じないし、工事現場のおっさんを怒鳴り散らすし、けがをさせるし。
こんなじじぃが我が家にいたら速攻で施設にぶち込みますが、妻に先立たれ子供も授からなかったじいさんを止められる人はいません。
カールじいさんが流血沙汰のトラブルを起こしてしまって、街にいずらくなったのを見かねて、市の職員?がカールを施設に送り込もうとするも、「最後にもうちょっとだけ家を見ておきたいんだ」といって、家ごと逃げる。
トンだ老害ですよ。
このくそ老害カールが後半になるにつれてどんどんかわいくなっていくんです。
不愛想で頑固なじいさんっていう印象が強い前半でしたが、自分が憧れていた英雄に対する態度や、ボーイスカウトとの掛け合いなどからも、自分の芯を持った、ちょっと不器用なじいさんというイメージに変わります。
年寄り同士の戦闘シーン!?はコミカル
ディズニー作品といえば魅力的な敵。今回の敵は、昔カールが憧れていた英雄:チャールズ・F・マンツ(94歳)
30年代に活躍した冒険家で子供時代のカールやエリーが憧れていた存在。現在は94歳。
長らく捕らえられずにいた怪物に執着しており、さらに過去の出来事から疑心暗鬼になっている。旅の途中のカールと対面し、最初は意気投合するが、誤解により彼らが怪物を手に入れるために南米に来たのだと思い込む。(カールじいさんの空飛ぶ家 - Wikipedia より抜粋)
78歳VS94歳のバトルはマジで面白いので、ここだけでも見てほしい!
入れ歯は抜けとび、腰を痛め、老眼に悩みながら戦う高齢者たち。めちゃくちゃコミカルなんです。
過去を捨ててじいさんは浮上する
僕がカールじいさんの空飛ぶ家を見てよかったと思ったのが、込められてるメッセージ性です。
何も、いくらディズニーピクサーだからと言って、年寄りと子供の空飛ぶ家での冒険っていう話だけでカンヌに行けるほど甘くありません。
この映画、めちゃくちゃいいことを言ってるんです。
風船のガスが抜け、家が浮かび上がらなくなった時。カールは家の中にある妻との思い出の品などすべてを家から放り出します。
これまで未練たらたらで、何をするにも妻の写真を見ていたカールがいろんなものを捨て始めるんです。
その結果、家は再び浮かび上がりカールも人生を前向きに歩み始められたっていう話。
受験に失敗しただとか、就活に失敗しただとか、フラれたとか、人生には忘れられない過去が勝手についてくるものです。
いつまでたっても元カノの手紙をタンスにしまい込み、ふと目に着いた時に思い出を思い出してしまう……なんて、未練がましいことはもうやめましょう!
過去や想いでは捨ててしまって方が、人生は浮かび上がるし前に進める。そんなメッセージが込められた映画だと思います。
カールじいさんの空飛ぶ家 期待以上の傑作です。期待せずにみて!
何が言いたいのかというと、全然期待していなかったカールじいさんの空飛ぶ家、めちゃくちゃ良いです。
全体として、ストーリーはこじんまりしており、決して派手な映画ではありません。ですが、鮮やかに彩られた画面や含蓄あるおじさんの物語、そして込められたメッセージ。
期待せずに見ていたからかもしれませんが、めちゃくちゃ心に響く映画でした。